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ベネチア映画祭2024レポート

アンジェリーナ・ジョリ 『MARIA』 のアンジェリーナ・ジョリ
〈『MARIA』 のアンジェリーナ・ジョリ 〉

ベネチア映画祭に今年も参加しています。
毎年豪華なゲストを抱える高名な映画祭ですが、
今年はブラッド・ピット、ジョージ・クルーニー、アンジェリーナ・ジョリ、ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、ケイト・ブランシェット、ジュード・ロウ、ダニエル・クレイグ、エイドリアン・ブロディ、アントニオ・バンデラス、ティム・バートン...
などなどが登場しています!MARIAのレッド・カーペットには偉大なるミュージシャン、パティ・スミスの姿もありました。


そして日本からは黒沢清監督の『クラウド』では
オフィシャルフォトグラファーを担当させていただきました。
すでに8月30日に行われた上映時には、
会場付近や会場入り口内に溢れたものすごい数の観客にサインを迫られて圧倒されながら
丁寧に一つ一つ応えている姿が印象的でした。

ニコール・キッドマン
〈『BABY GIRL』のニコール・キッドマンとアントニオ・バンデラス〉


挙げられたゲストの名前だけでも見るからに豪華な映画祭ですが、
フォトグラファーとして参加するのもかなりのおもしろさと醍醐味がありながらももはや体力勝負の世界です。


ジョージ・クルーニーとブラピ
〈『WOLFS』のクルーニーとブラピ。この2人が揃うと現地は大興奮状態に〉

朝は船で到着するスターを待ちながら、その間に行われるフォトコールへ向かい、またまたそれが終わると会場に移動してくるスターたちを炎天下の船着場で待ち、
午後はひでりでとろけるような赤絨毯に走り込み、そこから深夜まで3つの赤絨毯撮影をこなす...という過酷なスケジュール。

しかも赤絨毯は黒服と決められているので、途中で着替えます。
そしてもちろん、各撮影の隙間でパソコンを広げて写真を配信!と、ちょっとまあ信じがたいレベルの稼働率ですがおりしも今年は史上最高の高温日が続いております。

ジュリアン・ムーアとペドロアルモドバール
〈アルモドバールの『ROOM AT NEXT DOOR 』のジュリアン・ムーアとティルダ・スィントン。カラフルな衣装が目を惹く〉

本来は黒服と言ったら男子はスーツ着用が、
黒であればTシャツでも見逃されるように(ルールが変わったわけではないのですが、流石に連日30度をゆうに超える状況では不可能で)。
女子は涼しげに(?)肩も脚も出しています。

リチャードギア
(c)Dominique Charriaux

そんな中でとくに個人的に楽しめたのが、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットの出演するWOLFSのレッドカーペット。
まず、リチャード・ギアが来てフォトグラファー席の雛壇に入り込みました。慌ててそのおもしろい光景を撮影していたらなんと、そのまま私の方へ。
そして手を取って目を見つめながら
「Where do you come from ?」と。
慌てて「from Tokyo, we love you so much !」と返しましたが、
こんなことはプレスカメラマンをやっているからとはいっても、はじめてで流石にびっくりしました。

その後間も無くして赤絨毯に現れたジョージとブラッドは、一瞬目を合わせるとまたまたカメラマン席にそれぞれ乱入!
リチャード・ギアの奇行を:どこかで見ていたのか、カメラマン席に座ったりと肩を組んだりしながら赤絨毯を走り回るという...

カメラマン的には大興奮の赤絨毯でした。
スターが、写真に被写体として撮られる側としての意識から積極的に楽しむ姿勢に変わったとき、「おきまりの」ではない何かが溢れて。

ダニエル・クレイグ
〈『QUEER』のルカグァダニーノとダニエル・クレイグ 〉

ほんとうに、ルールが色々あるようでなし崩し的なイタリアでの撮影、語り尽くせないほど大変なんですが、
こういうことがあるとついまた楽しくなる、という状況です。

あとは『ジョーカー』のレディー・ガガとフォアキン・フェニックスと北野武を待つ映画祭、
心して撮影を楽しんでいきたいと思います。

(若)
(c) All photo by Kazuko Wakayama 許可なき複製を禁じます

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