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カンヌ映画祭レポート6〜受賞結果は?


12日間続いた映画祭も、とうとう閉幕です。


リューベン・オストルンドの『THE SQUARE」がパルムドールに輝きました。

面白い!とセンスのある人たちが騒いでいた通り、現代アートのわからなさを逆手に取ってその世界を描いたこの作品は、皮肉っぽさが確かに面白く、上映会場では笑いが漏れていました。
スエーデンの作品で、主演はデンマークの役者というだけあって北欧の文化性が背景に流れていて、新しい面白さを感じました。

ただ、この作品が最高賞のパルムドールに選ばれたことは多くの人にとって、サプライズだったよう。


実はフォトコールや赤絨毯の時に、チームがチンパンジーの声を扮し、チンパンジー役の役者が地面を四つんばいで走り回ったため、大騒ぎだったのですが、映画をまだ見ていないフォトグラファーたちにも、強烈な印象を残した作品でした。

河瀬直美監督の『光』は惜しくも賞を逃しました。

今年は色々な作品が少しずつ賞を分け合う形で受賞しており、圧倒的に審査員団に支持された作品というものがなく、ある意味粒が揃っていたと言えるようです。

社会的な問題や、トーンの暗い視点の作品が多かった中で、『THE SQUARE』が異彩は放ちパルムドールを射止めた(フランス・リベラシオン紙)のかもしれません。

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その他の賞は以下。
=日本の配給が決まっている作品


グランプリ:ロバン・カンピヨの『BPM (Beats Per Minute)』
エイズの問題に立ち向かう市民団体の話。

審査員賞:アンドレイ・ズビャギンツェフの『LOVENESS』*。2011年に審査員賞、2014年に脚本賞を受賞しているロシアの監督。
ロシアの現代社会の中に生きるある冷たい両親と息子に起きた出来事を描いています。


監督賞:
ソフィア・コッポラ 『THE BEGUILED』*
ニコール・キッドマン、キルステン・ダンスト、エル・ファニングの3人組とコリン・ファレルが出演。


70回記念賞:
ニコール・キッドマン 
3作品に出演、赤絨毯をにぎわせてくれました!フォトグラファーにとって、ニコールの努力は素晴らしかったと思います。

主演女優賞:
ダイアン・クルーガー『In the Fade』*

ドイツ出身のダイアン・クルーガーはドイツのファティ・アキン監督作品で女優賞を。

主演男優賞:
フォアキン・フェニックス『YOU WERE NEVER REALLY HERE 』*「賞をとるとは思ってなかったので、足もほら、スニーカーで・・・・」と言葉少なに嬉しそうなフォアキン。


脚本賞:
リン・ラムジー『YOU WERE NEVER REALLY HERE 』*
「5日前にやっと出来上がったばかりです!」と授賞式で語ったラムジー監督の作品、ジャーナリストたちから素晴らしく面白い、という声が上がっていました。

ヨルゴス・ランティモスら『THE KILLING OF SACRED DEER』


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今年もカンヌ映画祭に参加できたこと、大変嬉しく思います。

日本公開が待ち遠しいですね。



(by 若)





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